保存期CKD患者におけるCOVID-19対応 ckd
1. 一般的な症状と重症化リスク
罹患しても約8割は軽症で経過し、治癒する例も多いことが報告されている。 一方、重症度は、季節性インフルエンザと比べて死亡リスクが高いことが報告されている。特に、高齢者や基礎疾患を持つ人では重症化するリスクが高いことも報告されている。
仮に、保存期 CKD がCOVID-19の直接的な重症化のリスク因子ではないとしても、加齢、喫煙、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣/生活習慣病が発症に深く関与するCKD患者では、複数のCOVID-19の重症化リスクを有することが多い。
すなわち、CKD患者におけるCOVID-19対策としては、標準的な感染予防策の徹底(次項)とともに、医療現場の混乱による受診困難や外出規制等があっても、CKDの重症化を予防するための食事療法・運動習慣や、糖尿病や高血圧等の治療を適切に継続することが重要である。
2. 感染経路と予防策
保存期 CKD も重症化のリスク因子である可能性はあるものの、保存期 CKD 患者が過度に COVID-19 を恐れる必要はなく、冷静に下記の標準的な予防策を取ることを推奨する。
一般的には、飛沫感染と接触感染の2つの感染経路が主であり、ヒトからヒトへ感染すると考えられている。また、咳やくしゃみの飛沫だけでなく呼気に含まれるエアロゾルも感染性を有すると考えられており、閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどの症状 がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされている。 潜伏期は1ないし14日間であり、暴露から5日程度で発症することが多い (WHO)。疫学調査から発症の2日前から感染性をもっていることが知られてきた。
①飛沫感染:感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の人がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染する。
②接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつく。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染する。
感染経路を断ち、うつらない・うつさないためには、風邪や季節性インフルエンザ対策と同様に一人一人の咳エチケット、手洗いが大変重要である。さらに、人込みの多いところはできれば避ける、また、風邪症状があれば、外出を控え、やむを得ず外出する場合にはマスクを着用する。
咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、 口や鼻をおさえること。
ドアノブや電車のつり革などさまざまなものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性がある。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前など、こまめに手を洗う。液体石鹸を用いた十分な手洗いができない場合には、アルコールを主成分とした手指用消毒薬の使用も有効である。